五重塔、正月飾りに、わらぼっち。
上野東照宮のぼたん苑は、江戸時代の日本庭園的な趣を感じられる空間だ。
そんなぼたん苑では、元日から2月下旬まで「上野・東照宮 冬ぼたん」が開催される。
冬に咲くように抑制栽培で咲かせた「冬ぼたん」が、花の少ない冬に彩りを添える。

なかでも目を引くのが、雪や霜から花を守るための霜よけの藁囲い「わらぼっち」だ。
藁に包まれて咲くぼたんは、この時期ならではの風物詩と言っていい。
また、新春を思わせる正月飾りも苑内各所を彩る。
隣接する上野東照宮では、午年に合わせた新デザインの御朱印も頒布していた。
上野で新しい年の幕開けを感じられる、新春の散歩コースをレポートする。
上野東照宮ぼたん苑の現地レポート

ぼたん苑は上野東照宮の敷地内にあり、日中友好を記念して1980年に開園した。
会期以外は閉苑しており、花の見頃に合わせた催しの時期にのみ開苑する。
会期は年に3回。
冬は「上野・東照宮 冬ぼたん」(元日~2月下旬)、春は「春のぼたん祭」(4月上旬~5月上旬)、秋は「ダリア綾なす秋の園」(9月下旬~10月下旬)が目安だ。
東照宮の鳥居をくぐり、社殿へ続く参道の左手にぼたん苑の入口がある。
入苑料は1000円。
支払いは現金のほか交通系ICにも対応しており、券売機で購入する形式だった。
都内の他の庭園や植物園と比べると少し割高に感じるかもしれない。
しかし、丹精込めて育てられたぼたんの美しさと、手入れの行き届いた日本庭園の佇まいを味わえば、価格以上の満足感を得られるはずだ。
その魅力を紹介していこう。

苑内に入ると、壁に掛けられた和傘や生け花、枯山水が来園者を迎えてくれる。
ぼたん苑でありながら和の小物や装飾が随所に置かれ、日本庭園らしい趣を感じられる空間だ。
こぢんまりとした敷地ながら、苑路が蛇行している動線なので体感のボリュームは十分。
ぼたんは苑路に沿って配置されている。
祝日の午前中に訪れたが、苑内は空いており苑路も人がすれ違えるほどの幅が取られていたので鑑賞しやすかった。
大きなカメラを構える人が何人かいたのも印象的だ。

ぼたんには、ひと株ごとに藁(わら)を編んだ「わらぼっち」という囲いが被せられている。
これは寒さや雪、霜から花を守るためのものだが、その実用性以上にまるで笠地蔵のような愛らしい見た目が魅力だ。
冬の風物詩として、これを見るためだけに訪れる価値も十分にあるだろう。

展示はぼたんだけかと思いきや、新年らしく正月飾りも至る所に置かれていた。
羽根突きの羽子板や竹、みかんなどの縁起物に加え、今年は午年ということもあり、馬をモチーフにした飾りも見受けられる。
新春を感じられる散歩としてもここを訪れる価値があると感じた。
ところで、ぼたんには「寒牡丹」と「冬ぼたん」の2種類があることをご存知だろうか
寒牡丹は、春と初冬の二季に開花する品種だが、着花率が低く、開花も自然環境に大きく左右されるため、花を咲かせるのが難しいそうだ。
対してここで多く見られる冬ぼたんは、温度管理などの技術を用いて人工的に冬に開花させている品種である。
東照宮ぼたん苑では冬ぼたんを40品種160株ほど展示しており、あわせて貴重な寒牡丹の一部も見ることができる。
白、ピンク、紫、黄色など多種多様な花が揃っており、ぼたんはここまで鮮やかなものかと息を呑んだ。

上野公園は広い敷地のわりに高い建物はほぼなく、都心でありながら空が広い。
それゆえ、寛永寺にそびえる五重塔の存在がひときわ目立つ。
ぼたん苑からも五重塔がよく見え、苑内の日本庭園風な敷地と相まって江戸時代にタイムスリップしたような雰囲気を楽しむことができる。
ぼたんや苑内装飾と五重塔が一緒に映る写真は、ここでしか撮れない貴重な一枚だ。
この時期は早咲きの梅も見られるので、梅と五重塔のツーショットもいいだろう。
日本庭園的な文化を存分に感じられる散歩を楽しむことができた。
午年デザインの御朱印

ぼたん苑を出てすぐ左手には、黄金色に輝く上野東照宮の社殿がそびえる。
上野東照宮では1月限定御朱印を数量限定で授与しており、午年デザインの御朱印を購入した。
初穂料が1100円ということもあり、通常の御朱印2枚分にあたる見開きサイズかつ、馬をホログラム箔で描いたデザインがあしらわれており、非常に高級感を感じた。
去年は2枚構成で半透明の透かしを楽しめる御朱印だったが、毎年趣向が違う御朱印というのは集めて楽しいなと感じた。
他にもお守りなど多数取り揃えているので、ぼたん苑のついでにぜひ立ち寄ってみてはいかがだろうか。
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